2013年5月5日日曜日

韓国の国会見学で「愛国教育」を見た

今日は韓国の国会議事堂見学に行ってきました。
韓国のマンハッタンと言われる、漢江の中州、ヨイド島にあります。
ソウル大学からはタクシーで20分ほど。観光スポットとしての紹介はこちら

国会議事堂遠景

国会議事堂本体では議場の見学のみでした。
議場風景

ちなみに、韓国は大統領選が5年に1度、国政選挙が4年に1度。日本のように解散はありません。一院制で定数は300名。日本と同じ小選挙区比例代表並立制で、小選挙区からが246名、比例からが54名です。

さて、本題。
国会議事堂見学の前に、ビジターセンターに行ったのですが、そこでの展示とシンポジウムには考えさせられました。

「愛国魂」ユンボンギルの展示

恐らく常設ではないですが、「愛国魂」というタイトルで展示がありました。

入り口。ぱっと見、坂本龍馬みたいですね。

名前はユンボンギル。Wikipediaではこちら

入り口を入ったロビー。

「Korean Bomb Thrower Wounds High Japanese Officials in Shanghai」という過去の新聞記事。

生涯が紹介されています。

1932年、彼が起こしたテロ事件を描いた画。

このユンボンギルという人のWikipediaによる解説はこちら
簡単に言えば、日本が韓国統治中の1932年に上海でテロ事件を起こした韓国人です。

明らかに彼はテロリストです。ただ、一緒に行った韓国人の友達曰く、「自由を勝ち取るための戦士」と「テロリスト」は見方による、とのこと。確かに新疆にしても、イスラム原理主義勢力にしてもそうですね。

見ての通り韓国では愛国者として英雄視されているらしく、過去には韓国の高麗大学でアメリカ人の教授が、ユンボンギルを「テロリスト」と発言したときにはメディアから猛バッシングがあったそうです。

もちろん、伊藤博文を暗殺した安重根が英雄視されていることは知っていましたが、国会のビジターセンターで堂々とテロリストの一生が「愛国者」として展示されていることに、日本人としては絶句。

こうして多くの小学生も見学にきていた場で、過去のテロリストを「愛国者」として賞賛する展示を行うのは、記憶し続けるべきものではあるのかもしれませんが、生産的なことにはつながらない気がします。一緒に行った東大の友人も「靖国の展示内容が、って文句つけられる比じゃない」と話していました。

ただ難しいのは、どういうことをした人であれば英雄視しても良いのか、という点です。
独立運動を起こし、それが武装蜂起につながり、体制側との戦いを越えて独立を勝ち取った、であれば英雄視されるでしょう。弾圧された結果は失敗に終わった、というのでも英雄視されると思います。

今回の場合、もちろんユンボンギルももし可能であれば独立のための活動をしようとしたのでしょう。どの程度「いきなり」テロ行為に走ったのか、という点が問題の一つになるのかと思いますが、ただ結果はテロに走ったわけで、何ら国会の場で礼賛するべきものではないと思います。

被害者、侵略された側だからといって、そこまでするか?というのが、日本の韓国に対する違和感の大きな面を占めていると思います。こうしたところは率直に韓国人に直接話して地道に変えていくことが必要でしょう。


独島を守る会

ビジターセンターの2階では、独島/竹島を守る会のセミナーが開かれていました。
セミナー会場入り口 

セミナーの様子

多くの聴衆

このセミナーを運営している団体は他にも、
「愛国心の強い高校生に対し、韓国が竹島を統治することの理論的根拠を教育する」
「このセミナーを受講した韓国人100万人が海外留学し、国際世論を動かす」
ことを目指しているそうです。自分の友達も過去に参加し、竹島に行ったそうです。

非常にしたたかに、実践的なステップをとっていると感じました。
繰り返しになりますが、これも国会のビジターセンターでの開催です。

韓国が実効支配して係争中であると認めず、日本が係争中であるとする竹島の構図は、日本が実効支配して係争中であると認めず、中国が係争中であるとする尖閣諸島の構図と似ていると言われます。

もちろん、竹島の方には韓国は建築物などがあり、尖閣諸島は鄧小平が「棚上げ理論」を言及した点で、竹島の方がより実効支配の度合いが強いという違いはありますが、日本は韓国のようにこうしたしたたかな戦略を取ってはいないことに危機感を覚えましたし、見習う点はあるように思います。もちろん、日本人からしてみれば、ここまでするのか、という気もしてしまうように思いますが、韓国の熱の高さに押された次第です。


【追記1】韓国人の友達曰く、ユンボンギルは安重根とは違い、市民(civilian)を殺さず、軍人を殺したので、テロリストではないそうです。だからと言って、テロリストではないとは言えない気がしますが…
【追記2】彼について国会で展示されてる理由は、彼の行為が独立運動の高まりを呼び起こしたからだそう。

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